見る夢は、人によってさまざまです。中には、「なんでそんな夢を見たのか分からない」と本人も驚くような支離滅裂、荒唐無稽な夢もたくさんあって、「夢は不可解なもの」と単純に片付けてしまいがちです。
しかし、はるか昔から、世界各地では「見た夢にはきちんと意味がある」ことを前提にした「夢のお告げ」が信じられ、さまざまな物語が残されています。
日本では鎌倉時代に、親鸞が聖徳太子から受けた「夢のお告げ(磯長の夢告)」によって、浄土宗の僧法然に師事することになり、後に浄土真宗を開いたといいます。
江戸時代になると、正月2日の夜に、「一富士二鷹三茄子」の順に初夢を見ると縁起がいいといわれるようになりました。その年に初めて見る夢によって、1年の吉凶を占う「初夢合わせ」も、夢に意味があると信じられていたからこその言い伝えなのでしょう。
神様仏様や亡くなった人が夢に出てくることを「夢枕に立つ」といいます。今後の進路に迷っていた時に、亡くなった身内が夢に出て来て、励まされたり戒められて迷いが解けたという人も多いでしょう。
夢は無意識(潜在意識)から生まれる
このように、昔から夢に意味があると信じられてきたとしても、どんな夢を見たのかは、本人が目覚めた後に語ってくれる以外に第三者が知る手段がありません。
そこでフロイト(オーストリアの精神科医)は、夢は、人間の心の中の無意識から生まれて来るものであることを前提としてその内容を分析すれば、人間の心の働きやしくみが解明できるとして、精神分析の理論を打ち立てたのでした。
フロイトによれば、人間の心は、意識・前意識・無意識の三つの層に分かれていると考えられ、「局所論」と呼ばれています。
意識とは、「はっきりした自律的な心の働きがあること」、つまりはっきり自覚(意識)している心の領域です。前意識とは、「その時は意識していないが思い出そうと思えば思い出すことのできる心の領域。意識と無意識の中間にある」で、下意識ともいわれます。
そして無意識とは、「通常は意識されていない心の領域・過程。夢・瞑想・精神分析などによって顕在化(意識化)される」と辞書にあります。(いずれも『大辞林』第三版 三省堂)
例えば、「うっかり○○してしまった」とか「思わず○○してしまった」といったように、自分の意外な一面が、何かのきっかけでふとあらわれてビックリすることがあります。自分の心の中にあって、それまでまったく気づかなかった部分、「抑圧されて」表(意識)にあらわれて来なかった自分でも知らない部分、それが無意識です。
「夢は意識への王道である」(フロイト)
夢は、この無意識が形となってあらわれたものであり、夢を分析すれば無意識の中身を推測できるとして、フロイトはこう述べたのです。
※フロイトの精神分析では、意識・無意識という言葉で表現されていますが、無意識と潜在意識は同じ意味です。したがって本コラムでは、次回以降「心の奥深い層に潜んでいる意識」という意味で、より馴染みのある「潜在意識」という言葉を用いることにいたします。
西谷 泰人 (にしたに やすと)
手相家・夢判断研究家・ライフコンサルタント。 アメリカABCラジオのレギュラー番組「ニシタニショー」で数多くの有名人を鑑定、話題に。1988年、CNNテレビで日本を代表する手相家として紹介され、著書は25か国以上で翻訳されている。これまで鑑定した人々は、優に7万人を超える。
方位学、夢判断の研究にも造詣が深く、研究生活は30年以上になる。毎日全国・海外から送られてくる膨大な夢の体験談・資料の中から抜粋し、今回本書で公開している。
2004年帰国後は横浜に鑑定オフィスをオープン。『的中手相術』『暮らしに活かす夢判断』(以上創文)『吉報旅行 改訂版』(マガジンハウス)『夢をかなえる手相の本』『幸せグセがつく きらめきのルール』『願いをかなえる夢の見かた』『幸せグセがつく 黄金のルール』(以上学研プラス)など著書多数。
「笑っていいとも!」のレギュラー出演ほか、テレビ出演は200回を超す。WEBサイトでは「吉方位早楽地図上検索システム」を監修・運営のほか、占いの店「開運パビリオン」(東京/代々木)を運営。
■ホームページ 「西谷泰人のSUPER手相鑑定」 http://www.nishitani-newyork.com/
■連絡先 創文:045-805-5077 (10〜18時、日・祭日除く)
作品紹介
夢には未来への偉大なヒントがあり、開運の力があります。本書は、誰でもできる、願望をかなえる“夢のコントロール法”を紹介!
定価:本体1,400円+税/学研プラス