あなたはどちらの人物に人間的な魅力を感じるだろうか。
①「私は本当にモテないんだ。土日はメールが1本も来ないことがざらなんだから。
一応、新着メールはチェックするけど、やっぱり来てないんだ。寂しいよ」
②「私はモテないわけじゃないんだけど、休日は家にいるようにしている。メールや電話も来ないほうがありがたいね」
人の気持ちを一瞬でつかむのは①の人物だ。
『釣りバカ日誌』の浜崎伝助を見よ。映画だからずいぶんデフォルメされてはいるが、彼から学ぶことは多い。彼は、うれしい、悔しい、悲しい、寂しい、腹が立つなどの気持ちを正直に表現している。
私の教室では、恋愛にせよ結婚にせよ、パートナーがなかなか見つからない人には、モテない話を楽しくエピソードで話せるようになりなさいと教える。不思議なことにモテない話がうまくなると、モテるようになる。
あなたも自分にウソなどつかないで、正直な自分を見せてみよう。
仕事で失敗したら「いい経験になった」と言う前に、「失敗しちゃった!」「オレはダメだ!」と笑いながら言ってみよう。相手も笑顔を返してくれるだろう。
暇な部署に異動になったら「新しい環境を楽しんでいる」なんて言わずに、「左遷されちゃった!」「悲しいもんだね」と正直に言いながら前に進んでいこう。
心で不安や恐れを受けとめ、言葉で認め、行動はポジティブに。それこそが逆境をはね返し、人の気持ちをつかむエネルギーになる。
自分の気持ちを素直に表現する人は、他人から見ても安心だ。そして素直な人の前では、自分も気持ちを自由に表現できて気分も楽になる。だからそういう人に私たちは惹きつけられてしまう。
どんなに品行方正で立派な話をするより、あなたの素直な気持ちを表現するほうが人の気持ちをつかめる。
あなたの気持ちはダイヤモンドの価値があるのだ。
うれしい、悔しい、悲しい、寂しい、腹が立つなど、
素直な気持ちを表現すれば、
人はあなたに共感してくれる。
野口 敏 (のぐち さとし)
1959年熊本県生まれ。関西大学卒。 平成元年より、話し方教室TALK&トークを大阪、東京、名古屋で主宰。コミュニケーションを感情という観点から深く研究。「今日習った人が、今日少しうまくなる」がモットー。 温かくユーモアにあふれた指導が幅広い支持を得て、これまでに指導した生徒は5万人を超えている。 著書に『誰とでも15分以上会話がとぎれない!話し方66のルール』(スバル舎)、『一瞬で人に好かれる話し方』(学研パブリッシング)、『誰からも大切にされる女性の話し方』(経済界)など多数ある。
作品紹介
一瞬で心をつかむ話し方
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会話は「言葉」のキャッチボールではなく「気持ち」のキャッチボール!5万人を話し上手にしたトップコーチの心を伝える会話術。
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