「奇跡のV字回復」の舞台裏
本書は学研ホールディングス代表取締役社長・宮原博昭が、現代を生きる若い世代に向けて著した「ビジネスの基本書」というべき1冊です。
今をさかのぼること12年前、著者は約20年間続いた学研グループの経営低迷期に社長に就任、不退転の覚悟で奮闘し、同グループを「奇跡のV字回復」へと導きました。本書では、著者の半生、就任時のエピソード、奇跡のV字回復の舞台裏、慢心が招いた更なる経営の危機、そこからのM&Aを中心とした学研グループの躍進が力強い文体で綴られています。
著者の主張は本書のプロローグにある「飛翔のため、あえて逆風に向かえ」というキャッチフレーズに集約されているといえるでしょう。
厳しい時代だからこそ、目の前の現実に正面からぶつかり、果敢にチャレンジすることで貴重な経験と大きな結果を手に入れてほしい――。このように、野心とエネルギーをもって仕事に取り組む真摯な姿勢こそが、現代のビジネスパーソンにとって最も重要なのではないでしょうか。
そのほかにも、「摩擦を恐れず、とんがった人間になれ」「起業への誇りは縦糸、職種への誇りは横糸」など、読者が勇気づけられる激励の言葉が満載です。それらは若い世代はもちろんのこと、ベテラン世代に至るまで、すべてのビジネスパーソンがこれからの厳しい社会を生き抜く指針となることでしょう。
ホットな激励とクールな経営戦略
本書は多忙なビジネスパーソンが手に取りやすいエッセイ形式で執筆された書籍です。
先に挙げたような激励の言葉に加えて、組織における実力の発揮の仕方にも多くのページが割かれています。
コンパクトな文章の中に、「戦略・戦術・戦闘という考え方」「フラクタル組織を目指そう」「先義後利、売れたら終わりではない」「マーケットインの発想で仕事をしよう」など、ビジネスの現場で役立つ知恵が満載です。
そしてさらに、著者が数多く成功させてきたM&Aをはじめとする経営戦略についても述べられています。経営については成功例だけでなく、失敗例も数多く紹介しているため、ケーススタディとして読むことも可能です。
ホットな激励と、クールな経営戦略。この2つの要素を併せ持った本書は、新年度、希望と不安に満ちて会社の門をくぐる新人社員が携えるべき「座右の書」となってくれるはずです。
目次構成
プロローグ 飛翔のため、あえて逆風に向かえ
第1章 若き社員へのメッセージ
第2章 何のために仕事をするのか
第3章 つねに原点を意識し、ピンチに立ち向かえ
第4章 学研の未来を輝かせるために
エピローグ もう一度トップに立とう
著者プロフィール
宮原博昭(みやはらひろあき)
株式会社学研ホールディングス 代表取締役社長
1959年生。広島県呉市出身。防衛大学校卒業後、貿易商社を経て、1986年に株式会社学習研究社(現・学研ホールディングス)入社。学研教室事業部長、執行役員、取締役を歴任し、2009年学研ホールディングス(以下HD)取締役に就任。学研塾HD、学研エデュケーショナル、学研教育出版の代表取締役社長兼任を経て、2010年12月、学研HD代表取締役社長に就任。教育と医療福祉を中核とした事業改革を牽引し、12期連続増収、7期連続増収増益のV字回復を果たす。
商品の紹介
■書名:『逆風に向かう社員になれ』
■著者:宮原博昭
■発行:Gakken
■発売日:2022年3月31日
■定価:1,650円(税込)
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