◎同級生に負けてしまったときのフォロー
小学校時代の子どもはちょっとしたきっかけで、自信をもったり、逆に失ったりするものです。その意味で、早生まれで同級生との月齢差が大きい子の場合などは、まわりの子に比べてできないことも多いので、自信をもつことがなかなかできないことがあります。
お母さんは、月齢差というハンディを理解したうえで、上手にフォローする必要があります。たとえば、学校の勉強についていくのがやっとで、なかなかいい点がとれないとき、「あなたは10ヶ月も年上の人とやっているんだから、いまは負けちゃってもしょうがない。だけど、もし勝つことができたら、1歳くらい年上の人に勝ったことになるよ」。これだけで、子どもは、できない自分に対する不安から解放されます。
さらに、「じゃあ、もう少しがんばってみようか」と言って、勉強につきあうの もいい方法です。
成長が遅く、どうしても出遅れてしまいがちな子どもは、適切なフォローをせずに放置しておくと、やがて勉強嫌い、学校嫌いにつながってしまうことがあります。お子さんを見て、どうも学校にいくのが楽しそうではなかったり、勉強に苦労している様子が見られたりするときは、フォローの仕方を工夫してみましょう。
◎女の子に負けてしまったときのフォロー
実際、小学校などで何をやっても女の子に負けてしまい、自信喪失気味になっているときには、次のようなフォローをしてください。
まず、「男の子は、中学生くらいまでは、ゆっくりとしたスピードで成長するから、女の子に負けてしまうことはよくあることなんだ」ということを教えてやりましょう。「いまは、かなわなくても、中学生、高校生になると、女の子に追いついて、追いぬいていくことができる」ということも伝えてください。
男の子自身、自分があと伸びの性であることなど知りません。だれかが教えてくれないかぎり、「自分はダメな子かもしれない」と信じ込んでしまうでしょう。
「男なんだからしっかりしろ」とか「女の子に負けるなんてダメな人間だ」などという言葉は禁句です。
お母さんから見れば些細なことかもしれませんが、こうしたフォローがあるかないかの差は、意外と大きいものです。
男女差にしても月齢差にしても、そのことについて、学校の先生が子どもに説明してくれるわけではありません。ここはお母さんの出番です。
また、ほかの子と比べてできないことがあると、子どもにオロオロとした姿を見せてしまうお母さんがいます。しかし、そうした姿がよけいに子どもを不安にさせ、自信のなさを増幅してしまいますので注意しましょう。
和田 秀樹 (わだ ひでき)
1960年大阪府生まれ。精神科医・教育評論家。東京大学医学部卒。国際医療福祉大学大学院教授(臨床心理学専攻)、一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)。精神分析学(特に自己心理学)、集団精神療法学等を専門とする。受験アドバイザーとしても精力的に活動し、志望校別勉強法の通信教育・緑鐵受験指導ゼミナールを主宰。東京大学をはじめとする難関大学に挑戦する受験生を指導している。映画初監督作品『受験のシンデレラ』がモナコ国際映画祭最優秀作品賞を受賞するなど、文化面でも幅広く活躍中。
作品紹介
これからの世の中、男の子に求められるものは「優しさ」より「心の強さ」! どんな環境も生き抜く心の強い男の子を育てるコツ。
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