「本屋さんのココ」、第 5 回のテーマは「本屋さんと商店街」。
今回は少し遠出をして、奈良県へ。
大和郡山市の柳町商店街にある「とほん」にお邪魔しました。
全国的に“にぎわい”がなくなっている商店街にあって、
既存の物件を使ったまちおこしも始まっています。
2014年2月にオープンした「とほん」は、
商店街にあった畳屋さんの物件をリノベーションした
レンタルスペース「柳花簾」に入居。
商店街でも新しいお店ができ始めた一角にあり、
イベントにも積極的に参加しています。
店主の砂川さんは新刊書店に長く勤められた方。
店内では新刊、古本、雑貨を扱っています。
もちろん「とほん」は商店街にとっての「本屋さん」でもあります。
商店街と本屋さんの関係。
本屋さんとしての商店街との関わり方とはなにか?
そんな疑問を、直接聞いてきました!
「本屋さんのココ」では、
私と一緒に毎回色々な人に実際に“本屋さん”を
楽しんでもらいながら読者の視点にたったレポートも加えて
お伝えしていこうと思います。
取材日:2015年3月29日
取材、構成、写真:松井祐輔
写真提供:山本茂伸、とほん
【店舗情報】
とほん
〒639-1134
奈良県大和郡山市柳4-28
営業時間:11:00〜17:00
定休日:木曜日、祝日
http://www.to-hon.com
奈良県大和郡山市。
近鉄郡山駅を降りると目の前には駅前商店街が広がっています。
駅の裏手には「ジャパンブックス郡山店」、
商店街の中には「哲林堂書店郡山店」があります。
この2店舗を覗きながら郡山駅前商店街を進むと、
「柳町商店街」のアーケードが見えてきます。
どうやら、この商店街は駅前商店街とは違うようです。
そこからすこし歩くと見えてくるのが今回の取材先、
4坪の本屋、「とほん」です。
取材した日は第4土曜日。
この日は毎月恒例のイベント「ひとたらい市」があり、
「とほん」店主の砂川昌広さんも手伝っているというので
寄ってみました。
イベントはフリーマーケットのようで、
手作りお菓子や小物、中には「苔玉」も売っていたのですが、
みんな同じ「たらい」を使って販売しています。
「ひとたらい」とは「一盥」のことのよう。
「なぜ?」と思いながらふと会場の先を見ると、
なんと電話ボックスに金魚が入っていました!
大和郡山市は日本有数の金魚の養殖地として有名で、
商店街のいたるところに
金魚の人形やイラストを目にすることができます。
すこし歩けば、金魚の養殖池も広がっています。
そして肝心の「たらい」は金魚の品評会で使うホーローのたらい。
つまり「ひとたらい市」は、
金魚の品評会で使うホーローのたらいを使った
フリーマーケットなのです。
なかでも「金魚電話ボックス」のインパクトは絶大で、
遠方から見に来る人もいるとか。
もちろん「とほん」の前にも金魚の入った「たらい」が。
「とほん」が営業している場所は、
「柳花簾」というレンタルスペースで、
「とほん」はその一角で営業しています。
他のスペースは、短期的に他の方に貸し出されているとのこと。
もちろんこの日は「ひとたらい市」をやっていました。
「とほん」は、新刊と古本、そして雑貨も扱っていて、
簡単に一望できてしまう広さ。
その中で雑貨と本が違和感なく綺麗に並んでいました。
全体としては、雑貨、食、くらし、読み物、しごと、旅……と、
棚ごとに区切られてはいるのですが(もちろん金魚の棚もある)、
そのくくりは曖昧で、棚というより、
「とほん」を見る、楽しむと言ってしまうほうが
なんだかしっくりくる。
これはやはり4坪だから、なのでしょうか?
店主の砂川さんは150坪級の新刊書店に長く勤められた方。
どうして「とほん」を開くことになったのか。
商店街と「とほん」の関係。
4坪で本屋さんをするということ。
奈良県まで行って聞いてきました!
次回からは、
「とほん」店主、砂川昌広さんへのインタビューです。
松井 祐輔 (まつい ゆうすけ)
1984年生まれ。 愛知県春日井市出身。大学卒業後、本の卸売り会社である、出版取次会社に就職。2013年退職。2014年3月、ファンから参加者になるための、「人」と「本屋」のインタビュー誌『HAB』を創刊。同年4月、本屋「小屋BOOKS」を東京都虎ノ門にあるコミュニティスペース「リトルトーキョー」内にオープン。
バックナンバー
- 「本屋さんと商店街」とほん 砂川昌広さん 第5回
- 「本屋さんと商店街」とほん 砂川昌広さん 第4回
- 「本屋さんと商店街」とほん 砂川昌広さん 第3回
- 「本屋さんと商店街」とほん 砂川昌広さん 第2回
- どこでも同じ本が「買えない」からこそ、本屋はおもしろい
- 「本屋さんのココ」って?