「本屋さんのココ」は、本屋の「気になるところ」に注目して、なぜそうなっているのか、いろんな人にインタビューして解き明かしていく連載です。
本屋さんに入って、「なんだかいつもと違うな」と思ったことはありませんか?よく見ると、いままで見たことがない本がたくさん置いてあったり、不思議な内装をしていたり、もしかしたら本じゃないものを売っていたりするかもしれません。「本屋」なのに……。
そんな“ちょっと気になる”本屋さんのアレコレを、解き明かしていきます。「本屋さんのココ」は本屋さんをもっと楽しむための企画です。
同じ本屋さんはどこにもない
自己紹介が遅れましたが、私、松井祐輔と申します。「本」が好き、というよりも「本屋」好き。本屋があれば、たとえ旅行中でも、まず入ってしまいます。そもそも本屋に行くために、旅行することもしばしば。
なぜそんなに本屋に行きたいかというと、やっぱり「同じ本屋さんはどこにもないから」。大都市にあるビル数階建て、1000坪の巨大な本屋さんから、駅前にある、入ってすぐ全部を見渡せるような、20坪くらいの小さな本屋さんまで。おなじ「本」を扱っているのに、こんなにいろんな形がある。
もちろん、本の品揃えも様々です。近年は毎年7万点以上の新刊が出版されていますし、長い本の歴史の中で、10年、50年、100年と読み継がれている物語もたくさんあります。そういう本を全て並べるのは、どんな大型書店でも無理。そうなると、どの本を、どこに置くか。無数の選択肢の中で、本屋さんごとに独自の基準で本を並べることになります。
目的の本を買いにいって、隣にあった別の本も合わせて買ってしまったり、ふらりと本屋さんに入って、ふと目に入った本を衝動買いしてしまったり。そういう経験はありませんか。それはもちろん「本」の魅力でもあるのですが、それに加えて、本の魅力を引き出した「本屋さんの魅力」でもあると思うのです。
そんな「本屋さんの魅力」を、さまざまな形で紹介していけたらと思っています。そして皆さんに、好きな本屋さんを見つけて欲しいのです。好きな本屋さんが見つかれば、本の世界はもっと広がります。
(後半に続く)
松井 祐輔 (まつい ゆうすけ)
1984年生まれ。 愛知県春日井市出身。大学卒業後、本の卸売り会社である、出版取次会社に就職。2013年退職。2014年3月、ファンから参加者になるための、「人」と「本屋」のインタビュー誌『HAB』を創刊。同年4月、本屋「小屋BOOKS」を東京都虎ノ門にあるコミュニティスペース「リトルトーキョー」内にオープン。
バックナンバー
- 「本屋さんと商店街」とほん 砂川昌広さん 第5回
- 「本屋さんと商店街」とほん 砂川昌広さん 第4回
- 「本屋さんと商店街」とほん 砂川昌広さん 第3回
- 「本屋さんと商店街」とほん 砂川昌広さん 第2回
- 「本屋さんと商店街」とほん 砂川昌広さん 第1回
- どこでも同じ本が「買えない」からこそ、本屋はおもしろい