「のら猫は自由で気まま」…は本当? さまざまなのら猫たちの運命を、シビアな、しかしあたたかい目線で描いた、感動作。夏休みの読書感想文にもおすすめ!
もくじ
都会のシートン動物記!
「のら猫は、自由で気まま」――それは、まったくの間違いです。常にお腹をすかせ、寿命も家猫の三分の一程度。そんな「のら猫」が幸せなわけありません。実は、のら猫は、野生動物ではありません。人間と暮らすために改良された「猫」は、ペットとして人間とともに生きる動物です。それを「のら」にしてしまったのは人間なのです。のら猫は、カラスなどの外敵、冬の寒さ、飢え、事故、そして虐待をする人間…と、常に死と隣り合わせの日々を送っています。この物語は、野生より過酷に生きる、さまざまなのら猫の姿を描いた連作短編集です。
1章あらすじ
オスののら猫クロは、のら猫の母から生まれ、ずっとのら猫として生きてきました。母猫が急にいなくなって以来、ずっと一匹で狩りをし、寝床や休む場所を見つけ、縄張りを守って日々過ごしています。さまざまな敵から身を隠し、生き抜く術を身につけてきました。一瞬の油断が命を落とすきっかけになるからです。クロの日常を通して、のら猫の過酷に生きる姿が垣間見えます。
のら猫たちを取り巻く問題が、各章に散りばめられています
のら猫として生まれる以外にも、捨てられてのら猫になってしまうなど、猫がのらになる理由はさまざまです。のら猫と、のら猫に関わる人間たちの葛藤や問題を浮き彫りにする話を、オムニバス形式でつづります。
傷ついたのら猫を助ける人の姿も…
必死に生きるのら猫たちは、外敵などに襲われたり、猫同士でも縄張りをめぐって、争うこともあります。そんな傷ついたのら猫を助けようとする人たちとの関わりも描かれます。エサを与えたり、保護したり、奮闘する人々の姿が。しかしそこには、数々の問題が立ちはだかります。一匹でも多くののら猫を助けようとして行動する人の姿に心を打たれます。
人のすぐ隣で生きる、のら猫の小さな一生を知って、考えてほしい――
「のら猫」をめぐる問題は、すぐに正解をだせるものではないかもしれません。けれど、常に死と隣合わせで生きていること、それをとりまく環境については、誰もが知って考えなくてはいけない問題です。
のら猫についてなじみのない子どもたちにとっても、そういった問題について考えるきっかけとなります。「自分はどう考えるか」「どう行動するか」を問いかける物語なので、夏休みの読書感想文にもぴったりです。
のら猫たちの小さな「命」について考えさせるようなテーマが、1章ごとに展開されますので、小学校中学年~中学生にはもちろん、大人の方にもぜひ読んでもらいたい一冊です。
ペットをとりまく問題も「のら猫」と深くかかわっています。猫を飼っている人、これから飼おうと思っている人も必読です!
商品の紹介
■書名:『誰も知らない のら猫クロの小さな一生』
■著:なりゆきわかこ
■絵:酒井以
■発行:Gakken
■発売日:2024年7月18日
■定価:1,210円(税込)
【電子版】
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