【大反響!たちまち8万部】山崎元・著『経済評論家の父から息子への手紙』から、息子へ書いた手紙を一部公開中

     

更新日 2024.04.02
公開日 2024.02.01
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『経済評論家の父から息子への手紙』について

 65歳で世を去った経済評論家・山崎元さんの最後の書き下ろし作品『経済評論家の父から息子への手紙』が2月15日(木)に発刊しました。本書は、大学に合格した息子へ手紙を送ったことをきっかけに、闘病の中で新たに書き下ろし、書籍化したものです。
 この度、巻末に収録された、実際に息子へ送った手紙「大人になった息子へ」を一部公開します。

 本書の発刊に際しては、ご家族からも温かく応援いただいています。つねに辛口かつユーモラスに語り、人気を博してきた山崎元さんが残した、最後のメッセージです。

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「大人になった息子へ」手紙

※手紙文中の太字箇所について、『経済評論家の父から息子への手紙』内で具体的に説明しています。

貴君の今後について

 貴君はこれからどうしたらいいのか。
 こちらから指示したり頼んだりしたいことは何もない。好きなようにやってくれていい。
 それがいいと思えば大学を中退してもいいし、学生結婚して孫でも連れてくるなら大変面白いし、才能があるかどうかに疑問があるけれども詩人だのアーティストだのを目指してもいい。革命でもいい。仮に、やったことが違法でも、その意図が理解できれば、私は息子の味方だ。

 父親である私は、私自身のやりたいことをやればいいし、子供である貴君に引き継いで欲しいと思っている理想なり事業なりがあるわけではない。貴君は「父の思い」にこだわる必要は全くない。
 貴君が将来何をするかは興味を持って大いに楽しみにしているけれども、元気で生きていてくれたら満足以上だ。親孝行は、18歳の時点でもう十分に済んでいる。

 日本では、法的には18歳で大人だそうだが、大半の18歳が話にならないくらい未熟な子供であることを、貴君もご存知だろう。だが、貴君には早く大人になって欲しい。
 まだ慣れないけれども、私としても、息子を一人の大人として尊重したいと思う。この手紙の宛名に「様」がついていることや、「貴君」という耳慣れない呼びかけは、それを表しているつもりだ。

 幸い、息子は順調に育った。背は父よりも高いし、父がかつて入りたかった東大の理類に入った。将棋もまあまあ強い。性格は父よりも遥かにいい。こうした、自分の言わば「上位互換」の子孫がいることで、不思議な「生物学的安心感」とでも言うべき感情が生じている。今回、私は癌に罹って、なかなか厳しい状況に立っているのだけれども、気分が暗くならないのはそのおかげだと思う。

 一つお勧めを記しておこう。子供はできるだけ早く持つといい。私は一巡目の結婚の際も含めてだが、少し遅かった。自由な時間を手放したくなかったから結婚が遅くなったのだが、結婚しても、子供がいても、自由にするといいのだ。
 世間で言うと叱られそうだが、特に息子はいい。自分の息子が可愛いと思う時に、かつて自分の父親は自分のことをこんなに可愛いと思っていたのかと感じ入ることがあるのだ。強くお勧めしておく。

 仕事は興味が持てて価値観に反しないものなら何でもいい。面白ければ続けるといいし、面白くなければ変えたらいい。簡単な話だ。貴君は面接に強いから転職は自在にできるはずだ。
 お金の稼ぎ方では「株式」に上手く関わることがコツになる。起業でも、ベンチャーへの参加でも、ストックオプションをくれる会社への転職でもいい。
 私の時代は、出世したり専門家になったりして「労働時間を確実に高く売る」のが無難な道だったが、時代は変わった。株式性の報酬が有利だ。
 「自分を磨き、リスクを抑えて、確実に稼ぐ」ことを目指す古いパターンよりも、「自分に投資することは同じだが、失敗しても致命的でない程度のリスクを積極的に取って、リスクの対価も受け取る」のが、新しい時代の稼ぎ方のコツだ。リスクに対する働きかけ方が逆方向に変わった。

 仕事で株式性のチャンスに恵まれない場合は、インデックスファンドの長期投資が効率のいい株式リスクとの付き合い方になる。これは、凡人でもできるけれども、一見偉そうな他の投資よりも優れている。お金にも働いて貰うといい。
 以上、平凡だけれども、経済評論家としてアドバイスしておく。貴君の今後が大いに楽しみだ。

私の今後について

 私は今後どうするつもりか。
 自分の残りの持ち時間を推測しながら、自分の行動選択を最適化するのが基本方針だ。「やりたいこと」は持ち時間に応じて複数ある。
 私のやりたいことは、(1)正しくて、(2)できれば面白いことを、(3)なるべく多くの人に伝える、の3条件に集約できる。
 経済の仕組みや金融ビジネスの企みについて、他人よりも先に気づいて、できれば辛辣且つユーモラスに広く伝えることは張り合いがある。一冊一冊の本や、一本一本の記事の目的はその点にあるつもりだ。

 一例を挙げる。仮に、私に時間とエネルギーがたくさんあれば、「マーケティングの効果を解毒するサービス」をビジネス化することに挑んでみたい。世間が称えるマーケティングとは、「本来の価値以上の価格でたくさんのモノを売るための技術の集大成」だ。「ボッタクリのテクニック集」だとも言える。消費者は、マーケティングのおかげで、無駄なモノや無駄に高いモノを買わされている。
 このマーケティングの効果を防ぐ免疫のような機能を果たすサービスがあれば、消費者に経済的な利益をもたらすはずだ。利益を提供するのだから、ビジネスになり得る。これを適価で提供する仕組みを考えて事業化したい。

 だが、このビジネスを形にして、世界に大きな影響力を持つには、先ずアイデア段階から多大な時間と努力が必要だ。最低10年は掛かりそうなプロジェクトだが、「余命10年」は今の状況では自信がない。
 現状では、もう少し短期間でも効果の得られるプロジェクトに取り組むことになると思う。

 私が池袋の家を出て一人で暮らすことにしたのは、時間と自由をより多く確保したいと思ったからだ。仕事にも、趣味にも、生活にも、「もっとこうしたい」と思うあれこれがある。例えば、近年、自分の趣味に使う時間が少なくなっていたのは一つの反省材料だ。
 どの程度のことができるかは分からないが、父のやることを、興味を持って眺めていてくれたら嬉しい。

以上

著者紹介


山崎元(やまざき はじめ)

経済評論家。1958年、北海道生まれ。東京大学経済学部を卒業後、三菱商事に入社。野村投信、住友生命、住友信託、メリルリンチ証券、パリバ証券、山一証券、明治生命、UFJ 総研など計12回の転職を経験。コンサルタントとして資産運用分野を専門に手掛けるほか、経済解説や資産運用を中心に、メディア出演、執筆、講演会多数。ズバリ語る辛口の経済解説、マネーコラムで人気を博した。『リスクとリターンで考えると、人生はシンプルになる!』(ダイヤモンド社)、『ほったらかし投資術』、『超簡単お金の運用術』(以上、朝日新聞出版)、『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』(文響社)などベストセラー多数。

メディア掲載情報

●2024/2/15「東洋経済オンライン」で紹介されました
●2024/2/15「婦人公論.jp」で紹介されました
●2024/2/15「マネーポストWEB」で紹介されました
●2024/2/22「やさしい投資信託のはじめ方」で紹介されました
●2024/2/25「産経新聞」で紹介されました
●2024/2/26「プレジデントオンライン」で紹介されました
●2024/2/26「AERA」で紹介されました
●2024/2/26「Aの伝言」(BS朝日)で紹介されました
●2024/2/27「現代ビジネス」で紹介されました
●2024/2/28「幻冬舎THE GOLD60」で紹介されました

商品の紹介

■書名:『経済評論家の父から息子への手紙 お金と人生と幸せについて
■著:山崎 元
■発行:Gakken
■発売日:2024年2月15日(木)
■定価:1,760円 (税込)

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