『源氏物語』が世界的に評価されてすでに久しい。
この作品は恋愛小説だけあって、男ゴコロを見事に捉えて巧みに表現している。
しかも超のつく長編小説であり、並の頭脳ではこれほどの大作を書き上げることはできない。
これは紫式部が、幼少の頃から卓越した文学的センスを備えていたことや、宮廷に入ってからも様々な人間模様を観察してきた賜物であろう。
男ゴコロを知るための参考書として『源氏物語』を読んでみると、より親しみを持って味わうことができるかもしれない。
たとえば主人公の光源氏は、あちこちで女性を食い散らかすプレイボーイとして描かれているが、あなたはここで「なぜ彼がそういう生き方をしたのか」を考えるのだ。
それは、彼が他の男性と同じく、マザコンだからである。
彼の心の中では常に本命の女性は唯一人であり、その影を追い続けて数々の女性を抱くことで、生涯、寂しさを紛らわしていたという物語なのだ。
彼がいつまでも心の底から幸せを感じられないのは、第1志望の相手を獲得できないままで、常に第2志望から第100志望の間をウロチョロしていたからだ。
第1志望を獲得した男性なら、第2志望以下は無意味になり、浮気などしないのだ。
あなたも本物の恋愛を経験すればわかると思うが、第1志望を目の前にすれば、第2志望も第100志望も、同じようにどうでもいい存在になってしまう。
第2志望とファーストクラスで「ローマの休日」コースの旅に出かけるよりも、第1志望と毎日ほんの少しでも会話を交わすほうが、ずっと幸せなのだ。
光源氏はモテモテだったのではなく、本命をゲットできなかった悲劇の男なのだ。
女性がどうしていい男をゲットするのが難しいのかといえば、いい男は浮気しないからだ。
浮気しないからこそ、「私もあの人の本命になりたい!」という女性が殺到するのだ。
(※千田琢哉『20代で知っておくべき「歴史の使い方」を教えよう。』セレクションは、今回で最終回となります。ご愛読ありがとうございました。次回、新シリーズをお楽しみに!!)
千田 琢哉 (せんだ たくや)
文筆家。 愛知県犬山市生まれ、岐阜県各務原市育ち。 東北大学教育学部教育学科卒。 日系損害保険会社本部、大手経営コンサルティング会社勤務を経て独立。 コンサルティング会社では、多くの業種業界における大型プロジェクトのリーダーとして戦略策定からその実行支援に至るまで陣頭指揮を執る。 のべ3,300人のエグゼクティブと10,000人を超えるビジネスパーソンたちとの対話によって 得た事実とそこで培った知恵を活かし、 “タブーへの挑戦で、次代を創る”をミッションとして執筆活動を行っている。
■E-mail
info@senda-takuya.com
■ホームページ
http://www.senda-takuya.com/
作品紹介
リーダーシップ、出世、蓄財、恋愛…。あなたの人生を成功に導く「歴史の使い方」を20代のカリスマ・千田琢哉が教えます!
定価:1,300円+税/学研プラス
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