奇手は用いず、常に「王者らしい正攻法」をとる

森若幸次郎『ハーバードのエリートは、なぜプレッシャーに強いのか?』セレクション

更新日 2020.07.31
公開日 2016.03.31
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 ハーバードとスタンフォードの違いは、スピード感にも如実に表れています。
 スタンフォードに代表されるシリコンバレーでは、とにかく何をやるにも圧倒的なスピードの速さを感じます。たとえば私が誰かとアポイントをとろうとするときでも、接触したその日に会えてしまうようなことは日常茶飯事です。あっという間に、1日のアポ
イントが5件、6件……と積み重なることもしばしばです。
 これは、早く資金を集めてプロトタイプ(試作品)を作って世に出すという、イノベーションの精神にもとづいているのは間違いありません。
 早く学んで、早く起業をして、早く製品を作って、早く儲ける。そして上場したり買収されたりしながら、次の起業をねらう。そこは生き馬の目を抜く世界であり、一瞬たりとも息をつくヒマがありません。

 一方で、ハーバード、あるいはそのお膝元であるボストンやニューヨークでは、もっとどっしりと構えたビジネスを行っているように感じます。
 何かビジネスで重要な手を打つときには、一か八かで突っ走るというより、しっかりと戦略やプランを作り込む奇手は用いず、常に王者らしく、正攻法で戦っているのがハーバード流といえるでしょうか。
 私はハーバードで学んだあと、スタンフォードのビジネススクールでも学びましたが、その際にもそのスピード感の違いを実感しました。具体例として、大学の受付での経験をご紹介しましょう。
 スタンフォード大学の受付で私がちょっとした質問をしたときに、そこにいた女性のスタッフから一方的にまくしたてられるという一幕がありました。学内に横溢するスピード感と、ある種の熱狂は、末端である受付にまでも浸透しているなと感じました。その
瞬間、「ああ、自分は今、スタンフォードに来たんだ」と思ったものです。
 一方、ハーバードには、このような強烈なスピード感はありません。
 授業の進行などは、非常にテンポよく展開するのですが、いったんスイッチをオフにしたときには、あまり時間を気にしないのがハーバード流でした。
 受付のスタッフともゆっくりと話し、お互いに質問をしながら会話を進めていくような、落ち着いた雰囲気があったのです。

 私が述べているのは、あくまでも両学の空気の違いです。もちろん、スタンフォードがハーバードに負けているというつもりは毛頭ありません。
 私自身、スタンフォードの熱狂や圧倒的なスピード感に、憧れや賞賛の気持ちを抱いているのも事実です。しかし、私自身が2代目の経営者ということもあり、既存のリソースを発展させていく過程に大きな興味があります。
 その意味でも、時間をかけながら1を100、あるいは1000にまで大きくするところに、ハーバードの魅力があるように思うのです。

 

森若幸次郎 (もりわか こうじろう)

株式会社シリコンバレーベンチャーズ 代表取締役社長CEO
株式会社モリワカ 専務取締役CIO
実業家・イノベーションプロバイダー。
ハーバードビジネススクール/エグゼクティブMBA(PLD:Program for Leadership Development)を日本人最年少で修了し、スタンフォード大学経営大学院でM&A、シドニー大学で経営学を学ぶ。現在、国内外の企業20社以上の経営に従事。米国シリコンバレー、デンマーク、アジア諸国を中心に宇宙・医療・教育・芸術産業の活性化を推進し、各地でイノベーション創出を目的としたワークショップやリーダーシップセミナー等を開催している。

 

作品紹介

ハーバードのエリートは、なぜプレッシャーに強いのか?

ハーバードビジネススクールの頂点「エグゼクティブMBA」の日本人・最年少修了者が「超一流のマインドセット」を大公開!
定価:本体1,300円+税/学研プラス

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