さて、ここからは、ダイヤの法則を知ると、何がどんなふうに変わるのかについてお話ししたいと思います。
ダイヤの法則は、宇宙法則から見たこの世の仕組み、システムです。
この世の仕組みを知って、それを受け入れるとなぜ心が楽になるかといえば、前向きな意味で諦めることができるようになるからです。
その理由(わけ)について説明しますね。
諦めるという言葉の意味は、「思いきる」「断念する」ということですが、ようするにありのままを受け入れて、現実に逆らおうとしないことです。
そして、しょせん無理なこと、きりのないことに対して自分の思いを断ち切る――それが「諦める」という意味です。
なぜ諦めることで心が楽になるのでしょうか?
それは、諦められないことが苦しみの原因になっているからです。
個人セッションでの、相談者の悩みのほとんどが人間関係です。
その多くが、苦手な人や嫌な人と衝突してストレスを抱えていたり、感情的にもつれてしまって恨み辛みがつのってしまっているのです。
これは、家族、パートナー、友人、職場や趣味のサークル仲間など、すべての人間関係に共通しています。
人それぞれいろんな理由をつけてはみても、結局は、相手を許せない、自分の思い通りにならないから腹が立つ、だからイライラしているわけです。
実は、この苛立ちは、ダイヤの中の自分から見て下位の2割の人たちを認めない、排除したいという気持ちから出ているんですね。
しかし、もうお気づきのように、下位の2割の人たちは全体の中で必要があってそこにいるわけで、それによってバランスが保たれているので、たとえメンバーが入れ替わっても割合は変わりません。
たとえ状況が変わったとしても、そこにはまた下位の2割が現れます。
つまり、ダイヤの形そのものは変わらないんです。
なので、自分にとって下位の2割の人たちを認めて、「そういう存在なんだ」と割りきるしかありません。
どんな集団であっても、自分から見て2(上):6(中):2(下)のクラスがある。
それを失くそうとすること自体を諦めることが大事で、この諦めこそが心が楽になる秘訣です。
つまり、下位の2割を排除しようとするのではなく、存在そのものを認めて、感謝に変えていくのです。
ここでいう諦めとは、仏教でいう「諦観」と同じ意味です。
諦観というのは、本質を見極める。正しく理解する。明らかに観る。悟ること。
可能なことを諦めるのではなく、不可能なことに対して、そもそもできないのだと悟る――これが前向きな諦めです。
いい換えれば、ありのままの現実を受け入れるということです。
2(上):6(中):2(下)のクラスがいて、バランスを取っているからこそ、その集団が成り立っているんだ、と。
そうすれば、少なくともムダなエネルギーを使わなくてすむようになるのではないでしょうか。
どんなに愛しあっていても
100%理解しあえることはない
ダイヤの法則を知ると、他人に対する見方が変わるだけでなく、自分自身に対しても広い視野に立って大らかな見方ができるようになります。
仮に、自分自身のことでどんなに一所懸命に頑張ったとしても、100%完璧にはいきません。
いくら他人がうらやむほど才能に満ち溢れた人であっても、コンプレックスがまったくない人はおらず、何かしら足りない部分が2割程度はあるでしょう。
まったく欠点がない人なんてこの世には存在せず、たとえ周りの人が高い評価を与えてくれていても、自分が納得できるのはせいぜい8割。後の2割は何らかの欠点や不足があるはずです。
それを受け入れれば、心が少し楽になるでしょう。
もちろん、対人関係においても、自分が理解できる人や自分を理解してくれる人は限られます。
やはり100%、絶対はあり得ません。
どれほど好きな人と結婚したとしても、必ず理解し難い部分はあります。
どんなに愛しあっていても、他人(ひと)は他人。100%理解しあえることはないのが現実ではないでしょうか。
それを受け入れることができれば、イライラしたり、腹が立ったり、気を引こうとやきもきしたり、意思の疎通ができないことでショックを受けることもなくなるでしょう。
反対に、わかってくれない部分や理解しあえない溝も絶対に埋められるはずだと必死になればなるほど、心が満たされずに不満ばかりがつのります。
また、それを相手に求めれば求めるほど相手からの反発もかうことになるので、お互いに共有できる部分までもが嫌になって、あげくのはてに「もう顔も見たくない」となりかねないのです。
どんな人でも相手の理解できない部分、100%は共感できない部分が必ずある以上、最初からそれを受け入れることが人間関係を円滑にする秘訣です。
また、たとえどんなにお金があっても、どんなに憧れの職業に就いても、どんなに幸せな家庭を築いたとしても100%満足することはなく、必ず2割の不足があって、誰でもどこでもこの世において絶対はありません。
大事なのは、そこで2割の不足にとらわれて、「まだ幸せじゃない」と捉えるか、それとも8割で充分満足して「有り難い」と捉えるかで、その違いが人生の幸・不幸を決定づけます。
そもそも2割の不足は埋められないと諦めることができれば、幸福感を得られますが、絶対に埋められるはずだと固執すればするほど、幸福は遠ざかってしまうのです。
「光があれば必ず影がつきまとう」
「この世に100%はない。幸せも腹8分目!」
「それが法則ならしょうがない」
初めからそう思っていれば、どんな出来事や現象が起きてもうろたえることなく、受け流すことができるのではないでしょうか。
神光 幸子 (かみみつ さちこ)
書や学問の神さまとして「菅原道真」がまつられている京都の北野天満宮の社家の娘として生まれる。
神光という名は、現在日本に一軒しかない姓で、神光家は、十二代景行天皇の子孫であり、菅原七家として北野天満宮の初代(1000年以上前)から宮司を勤める。
幼少の頃から霊的であったり、不思議な体験を数々経験しており、30歳からこの道で生きることを決意する。
千年の歴史を持つ神光家に伝わる、心の持ち方や技法を教える「神光塾」を全国で展開している。
作品紹介
「神様の伝え手」として千年の歴史をもつ神光家に伝わる「よりよく生きるための技法」を日常生活の中で実践できる方法として紹介。
定価:本体1,300円+税/学研プラス