「断捨離」って何?

やましたひでこ『大人の断捨離手帖』セレクション

更新日 2020.07.31
公開日 2015.09.25
  • Facebook
  • LINE
  • Pinterest

 断捨離とは、「引き算の解決法」であり、「引き算の美学」。
 もっと簡単に言うならば、モノを手放していく行動によって、心を解きほぐし、スッキリと軽やかに生きるメソッド
 もとはと言えば、ヨガの「断行」「捨行」「離行」という行法哲学にヒントを得たものであり、モノと空間を整え、心と人生を調えていく片づけ術です。

【断】とは、モノの入り口。今の自分に「必要なモノ」と「必要ではないモノ」を吟味すること。必要ではないモノを断ち、必要なモノを選ぶこと
【捨】とは、モノの出口。今の自分に「必要なモノ」と「必要ではないモノ」を改めて見極めること。必要ではなくなったモノを捨て、必要なモノを残すこと
【離】とは、「断」と「捨」を繰り返すことによって到達する状態。選び抜いたモノが、入り口から出口までスムーズに流れ、新陳代謝し、最適に機能している状態

「断捨離」という言葉は、この3つのプロセスを表しています。

 私は学生時代にヨガを学び、この断行、捨行、離行の理念に縁を得ました。
 その当時、私はまだまだ物欲いっぱいの女子学生。所有欲の塊の若い女子。だから、断行、捨行、離行を実践することなど「無理!」としか思えなかったのも、それこそ無理からぬこと。
 そして、時が流れ、当然、モノはどんどん増えていくばかり。
 白状すると、かつては私も、片づけがとても苦手でした。それなりに家は片づいてはいたのですが、あり余るモノの出し入れに、時間と手間を費やす日々。
 モノの多さに圧迫感を覚え、あふれんばかりのモノをなんとか収拾しようと、プラスチックのコンテナを大量に買い込んだ時期もありました。そう、収納すれば、問題はスッキリ解決すると思ったのです。
 収納家具というのは、そこに詰め込んでしまえば、一見片づいたかのように見えます。けれど、詰め込んだモノをいちいちひっぱり出すには、手間がかかります。当然、出したらまた、しまい込まなければなりません。
 モノが目につかないという点ではスッキリしていますが、その出し入れに多くのエネルギーと時間を費やすのですから、心はまったくスッキリしない。収納家具が加わったぶん、モノが占領する空間は以前より明らかに広がっています。モノの多さに辟易していたのに、収納家具というモノを買い足して解決しようというのが、そもそも大きな間違いだったのです。
 そんなとき、思ったのです。
 モノがなければ、こんなに苦労することはない! 部屋も心もスッキリしたければ、モノを減らせばいいんだ!
 疲れ果てた私の頭にふと浮かんだのが、大学時代にあきらめた断行、捨行、離行でした。収納でヘトヘトになった暮らしの中で、「モノを持たなければいい」という考え方に行き当たったのです。ヨガの考え方が、スーッと腑に落ちた瞬間でした。
 もちろん「収納すること」から「モノを減らすこと」へと意識を切り替えたからといって、すぐにモノを減らせたわけではありません。私自身、時間をかけ、試行錯誤しながら、断捨離を実践する日々が始まったのです。

 それから約30年。今では、断捨離ハウスを訪ねてきた方たちから、
「本当に、こんなにモノが少なくて生活ができるんですか?」
 とビックリされるほど。
 コツコツと断捨離を続けていけば、あなたも、きっと「片づけられない悩み」から解放されます。そして、スッキリと気分よく過ごせるようになります。私も、片づけが苦手でしたから、よくわかるのです。

 

やました ひでこ

東京都出身。石川県在住。早稲田大学文学部卒。 学生時代に出逢ったヨガの行法哲学「断行・捨行・離行」に着想を得た「断捨離」を日常の「片づけ」に落とし込み、誰もが実践可能な自己探訪メソッドを構築。 断捨離は、心の新陳代謝を促す、発想の転換法でもある。 著者が創出した「断捨離」は、今や一般用語として広く認知され、年齢、性別、職業を問わず圧倒的な支持を得ている。 処女作『断捨離』(マガジンハウス)は、日本はもとより台湾、中国でもベストセラーとなり、『俯瞰力』『自在力』(いずれもマガジンハウス)の断捨離三部作ほか、著作・監修を含めた関連書籍は累計300万部を超えるミリオンセラー。 本書は、初の大人の男女向けの作品。

作品紹介

大人の断捨離手帖

空間を整えると、人生がととのう。溜め込みと抱え込みで、人生を重たくしている大人の男女に向けて、断捨離の極意を紹介する。
定価:本体1,300円+税/学研プラス

バックナンバー

  • Facebook
  • LINE
  • Pinterest

あわせて読みたい