自己肯定感が芽生えたら、ほめられる体験を

和田秀樹『12歳までが成功のカギ!「頑張れる子」の育て方』セレクション

更新日 2020.07.31
公開日 2015.05.15
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 愛情をたくさんそそぎ、子どもの自己肯定感・自己信頼感(自信)が芽生えたら、それを確かなものにするために、親は成功体験をさせる必要があります。成功体験といっても難しいものではありません。小さいころなら、ほめられる体験をたくさんすればいいのです。
 1歳ごろまでなら「初めてできた!」という体験は、山のようにありますね。初めてお座りができた、初めて寝返りをうった、初めて喃語(なんご)を話した、初めて歩いたなど、その都度、親子で喜び合い、子どもをほめてあげればいいのです。

 また、幼児期の子どもは多かれ少なかれ、「自分は何でもできる、特別な存在だ」という「万能感」をもっています。積み木を高く積むことができたり、遊具のいちばん上まで登れたときなどに、「ママ、見て見て!」と自慢げに親を呼ぶこともその表れといえるでしょう。
 大人にとっては、何でそんなことで大げさに呼び立てるのかと思うかもしれませんが、こんな他愛のないことでも子どもにとっては重要な成功体験になるのです。お母さんはここですかさず、「すごいね」、「高くまで登ったね」と少し大げさなくらいに声をかけて、一緒に喜んであげるといいでしょう。親に認めてもらったことで、子どもは「ちゃんと自分はできたんだ」と達成感を確認することができるからです。

「万能感」があるうちは、積極的に何にでもチャレンジしようとするので、成功体験を積み重ねることが難しくありませんが、成長するに従ってそれは失われていきます。周りの子と自分を見比べて、自分を客観的に見るようになるからです。幼稚園や保育所に入って、同年代の子どもたちの間で揉まれていくうちに、何となく「うまくいかないこともある」、「◯◯ちゃんのほうが上手にできる」などと気づくこともあるでしょう。
 小学校低学年になれば、「自分にはできないこともある」と次第に理解して、万能感から卒業していくのです。自分を客観視できることは、成長過程に欠かせないものですが、その反面、自信をなくす要因ともなり得るでしょう。

 ここでもまた、親が適切なフォローを行うことが大事です。特に早生まれの子は、注意して様子を見てあげてくださいね。4月生まれと3月生まれでは、1年近い開きがあり、子ども時代の1年間は大きな違いとなります。
 子どもができないことがあったら、ほうっておかずに、「できないわけじゃなく、練習していなかったから失敗したんだよ。これから練習してできるようになろうね」などと、その都度声をかけて自信を取り戻させてあげてください。

和田 秀樹 (わだ ひでき)
1960年大阪府生まれ。精神科医・教育評論家。東京大学医学部卒。国際医療福祉大学大学院教授(臨床心理学専攻)、一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)。精神分析学(特に自己心理学)、集団精神療法学等を専門とする。受験アドバイザーとしても精力的に活動し、志望校別勉強法の通信教育・緑鐵受験指導ゼミナールを主宰。東京大学をはじめとする難関大学に挑戦する受験生を指導している。映画初監督作品『受験のシンデレラ』がモナコ国際映画祭最優秀作品賞を受賞するなど、文化面でも幅広く活躍中。

作品紹介

12歳までが成功のカギ!「頑張れる子」の育て方

どんな環境でも心が折れずに立ち上がる、「頑張る子」の育て方を、教育評論家・心理学者の和田秀樹氏が本音でコーチ!
定価:本体1,300円+税/学研プラス

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