今回は、卵子力をアップさせるための食事についてご紹介します。
◎5大栄養素と6つの基礎食品群
人間に必要な栄養素は50種類ほどあると言われていますが、その柱となるのが炭水化物、たんぱく質、脂質の3大栄養素に、ビタミン、ミネラルを加えた「5大栄養素」です。
各栄養素の働きを最大限に発揮するには、すべての栄養素をバランスよく摂取することが必要不可欠です。
5大栄養素を摂取できる食品を、それぞれ食品に含まれる主な栄養素と働きによって6つに分類したものが、「6つの基礎食品群」です。
1群の主な栄養素は、「たんぱく質」です。その他に、ビタミンや脂肪を含んでいるので、身体の血液や筋肉をつくる材料になります。
1群の食品には、魚、肉、卵、大豆、大豆製品があります。卵子力アップには、良質なたんぱく質が摂れる旬の魚介類がおすすめです。
2群の主な栄養素は、「無機質(カルシウム)」です。その他に、たんぱく質、ビタミン、ヨウ素を含んでいて、骨や歯をつくったり、身体の各機能を調整します。
2群の食品には、牛乳、乳製品、海藻、小魚があります。卵子力アップには、心のイライラを抑えてくれる海藻や小魚を積極的に取り入れましょう。
3群の主な栄養素は、「β—カロチン」と「ポリフェノール」です。その他に、ビタミンCと無機質を含んでいて、皮膚や粘膜の保護体の各機能を調整します。
3群の食品は、主に緑黄色野菜です。活性酸素から細胞を守る抗酸化作用が強い食材が多く、卵子力をアップさせる食品群です。
4群の主な栄養素は、「ビタミンC」です。他には、無機質を含んでいます。ビタミンCと無機質は、解毒作用と身体の各機能の調整をするのに役立ちます。また、卵子力をアップするために必要な抗酸化作用がある食品群です。
4群の食品は、淡色野菜と果物です。特に、きのこ類は卵子力アップの血液サラサラによい食材ですので、積極的に摂りましょう。
5群の主な栄養素は、「炭水化物」です。他にビタミンを含んでいます。これらは、エネルギー源になる身体の各機能を調整します。
5群の食品は、主にご飯、パン、麺、いも、砂糖ですが、特に玄米や黒米、胚芽米、あわ、ひえなどの雑穀には、血糖値の急上昇を抑え、コレステロール値を下げる働きがあります。血糖値が急上昇すると血管を痛めてしまい、卵子の質を悪くする原因になりますので、玄米などをよく食べるとよいでしょう。
6群の主な栄養素は、「脂肪」です。その他に、ビタミンA、ビタミンDを含んでいて、主にエネルギー源になります。
6群の食品は、油脂類、脂肪の多い食品で、卵子の質をよくするアーモンドやくるみ、ごまなど、植物性の脂肪を摂るようにするとよいでしょう。
以上の6つの基礎食品群を、毎日の食事の中にバランスよく取り入れることで、健康な身体を維持し、妊娠体質になることができます。
卵子力をアップするための食品の選び方
卵子力をアップさせる食生活のポイントには2つあります。「体内の活性酸素を減らす食品」と「血の巡りをよくする食品」を摂る食事をすることです。
①活性酸素を減らす食品
活性酸素を体外に排出させたり、害を少なくすることができる「抗酸化物質」を多く含む食品や、活性酸素から身体を守ってくれる食品を積極的に摂るようにしましょう。
まず、抗酸化物質を多く含む栄養素として一番強力なのは、「ビタミン類」です。ビタミンC、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンB2などは「スカベンジャー」と呼ばれ、活性酸素を体内から排出したり、無害にしてくれます。
スカベンジャーを多く含む飲み物の中で、特におすすめしているのが「ルイボスティー」です。南アフリカ産の健康茶で、その効果は緑茶の1000倍と言われています。
その他、活性酸素を減らすために気をつけたいことを以下にまとめてみました。
・食品添加物を多く含む食品や、油で揚げた加工食品はなるべく食べない。
・コンビニやスーパーの出来合いのお弁当やお惣菜、特にカット野菜は、できるだけ回数を減らす。
・抗酸化酵素を多く含む食品や、抗酸化の効果を高める食品を積極的に摂る。
②血の巡りをよくする7つの食品
女性の多くが悩まされている冷え性、貧血、肩こり、偏頭痛、生理痛などの症状や、不妊症の原因となる子宮内膜症や卵巣腫瘍などの婦人病はすべて「ドロドロ血液」によるものだと言われています。
ここでは、6つの基礎食品群を参考に、ドロドロ血液をサラサラにする7つの食品を覚えていきましょう。
1.青魚 魚に多く含まれているDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)は、白血球や血小板に働きかけて、血液をサラサラにします。
2.海藻類 こんぶやわかめに含まれているアルギニン酸やフコイダンという栄養素は、血糖値の上昇を防ぎ、コレステロール値を下げ、血液をサラサラにします。甘いものや脂っこいものをよく食べる方は、特に意識して食べてください。
3.きのこ類 しめじ、しいたけ、まいたけ、えのきなどのきのこ類に含まれているβ‐グルカンという多糖類は、血糖値やコレステロールを低下させ、免疫力もアップします。
4.酢 酢酸やクエン酸が赤血球の膜をしなやかにし、細い血管(毛細血管)を通りやすくしてくれます。ただし、お酢の摂り過ぎは身体を冷やすとも言われてますので、量に気をつけて摂取してください。1日大さじ1〜2杯程度が理想です。
5.納豆 納豆に含まれるナットウキナーゼ(納豆にしか含まれない)という酵素が、血栓を溶かしてくれます。特に夜は血栓ができやすいので、夕食に食べるのもいいでしょう。
6.ねぎ類 玉ねぎ、にんにく、わけぎ、長ネギなど、即効性があるねぎ類は、食べたあと、2〜3時間後には、サラサラになっているという優れものです。
7.緑黄色野菜・淡色野菜 野菜には、抗酸化ビタミン、ミネラル、ポリフェノールなど、身体の調子を整える栄養素がたくさん含まれています。野菜に含まれ ているビタミンCやβ‐カロチンの抗酸化作用により、白血球同士がくっつくのを防ぎ、血液サラサラにします。1日400gが目標。緑黄色野菜:淡色野 菜=1:2が理想です。
以上のような血液をサラサラにする食品を食べることで、卵子力がアップするだけでなく、冷え性や生理痛などの改善にもつながります。
森本 義晴 (もりもと よしはる)
IVFなんばクリニック理事長/IVF JAPAN CEO 1951年生まれ。関西医科大学卒。同大学院修了。専門は生殖超微形態学。 日本IVF学会理事長、日本生殖医療心理カウンセリング学会理事長、日本受精着床学会常務理事、ASPIRE(Asia Pacific Initiative on Reproductionアジア太平洋生殖医学会)元理事長。 聖マリアンナ医科大学客員教授、近畿大学先端技術総合研究所客員教授、Pochon CHA University客員教授、関西医科大学非常勤講師、京都大学医学部保健学科非常勤講師、三重大学非常勤講師。 世界最大の不妊治療専門機関IVF JAPAN Groupを率いる。統合医療の実践とミトコンドリア研究を基に卵子の質改善の先端的治療に取り組んでいる。2014年冬に世界で初めての卵子のアンチエイジングをテーマにした不妊センター「HORAC」を設立予定。著書に『ドクター森本の不妊は家庭で治せる』(ゴマブックス)など多数ある。
作品紹介
Dr.森本の「卵子力」をアップさせるライフスタイルBOOK
赤ちゃんができる、理想的な身体と心になるために
今や6組に1組が不妊症です。原因は卵子の老化。妊娠成功率60%を誇るクリニックで指導しているさまざまなノウハウを伝授します。
定価:本体1,300円+税/学研プラス