女性が妊娠するために、とても大切で重要な2つのこと。
それは、本来人間が持っている「陰」と「陽」のバランスを整えることと、「自然治癒力」を高めることです。
このバランスを崩す最大の原因は、ずばり「ストレス」です。これは、不妊だけの問題ではありません。現代病と言われる生活習慣病、ひいてはすべての病気の原因はストレスだと言ってもいいくらいです。
気功理論から言うと、私たちは病気になるほどの強いストレスを受けると、生命エネルギーである「元気」を失うとともに、「精」「気」「神」のバランスを崩します。ちなみに「精」は生殖のこと、「気」は心のこと、「神」は脳神経のことを指しており、これら3つすべてが調和して、はじめて全身の気がスムーズに流れます。今ストレスを抱えている人のほとんどは、「神」=脳に気が集中し過ぎている状態なのです。
というのも、人間の脳は表面の、思考や計算などをつかさどる「大脳新皮質」と、深い部分の、生殖や生存などをつかさどる「大脳旧皮質」と呼ばれる部分からできていますが、現代社会では、どうしても「新皮質」のほうを働かせる機会が多くなってしまっているからです。
新皮質を働かせ過ぎると、旧皮質を抑制することになり、生殖機能が低下するだけでなく、「自然治癒力」も弱まり、それによって「妊娠力」が低下してしまいます。
私は患者さんに「何かにこだわったり、物事に執着し過ぎないで、心と体をゆるめましょう」と、いつも言っているのですが、これは妊娠しやすい脳にするために「旧皮質」を解放することが必要だからです。
心と身体が「ゆるゆる」になっていないと、全身の血や気の巡りが悪くなってしまい、栄養や酸素が身体のすみずみにまで運ばれません。
さらには、妊娠に欠かせない性ホルモンが各臓器に行き渡らなかったり、生殖に関わる卵胞刺激ホルモンが卵巣に届かないために卵子は成熟せず、受精も起こりにくくなってしまいます。
そして、もう一つの問題として、「ミトコンドリア」の働きを妨げ、卵子や精子の質を低下させる「活性酸素の大量発生」が挙げられます。
ストレスがかかると、体内ではノルアドレナリンなどの怒りのホルモンが分泌されるのですが、この時、たくさんの活性酸素が発生します。
よく、ストレスを感じると胃が痛くなったり、重くなったりするのは、体内のホルモン分泌による緊張状態から起こっているからなのです。
さらにこの緊張状態を元に戻そうと、今度は副腎皮質ホルモンが分泌され、その時にもまた活性酸素が発生します。
では、ストレスによって、卵子力アップの天敵である活性酸素を生み出さないためには、毎日どんなことに気をつけなければならないのでしょうか?
簡単にまとめると、以下のようなものが挙げられます。これらを完全に避ける、というのは無理にしても、なるべく気をつけて接することで卵子力をアップさせましょう!
・食品添加物
・激しい運動
・喫煙習慣
・紫外線
・大気汚染
・電磁波(パソコン・携帯電話)
森本 義晴 (もりもと よしはる)
IVFなんばクリニック理事長/IVF JAPAN CEO 1951年生まれ。関西医科大学卒。同大学院修了。専門は生殖超微形態学。 日本IVF学会理事長、日本生殖医療心理カウンセリング学会理事長、日本受精着床学会常務理事、ASPIRE(Asia Pacific Initiative on Reproductionアジア太平洋生殖医学会)元理事長。 聖マリアンナ医科大学客員教授、近畿大学先端技術総合研究所客員教授、Pochon CHA University客員教授、関西医科大学非常勤講師、京都大学医学部保健学科非常勤講師、三重大学非常勤講師。 世界最大の不妊治療専門機関IVF JAPAN Groupを率いる。統合医療の実践とミトコンドリア研究を基に卵子の質改善の先端的治療に取り組んでいる。2014年冬に世界で初めての卵子のアンチエイジングをテーマにした不妊センター「HORAC」を設立予定。著書に『ドクター森本の不妊は家庭で治せる』(ゴマブックス)など多数ある。
作品紹介
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