このシーンは、お姉さんの舞さんからきいたエピソードをもとに描かれました。バンクーバー・オリンピックへの切符をかけた2009年全日本選手権直前のシーンです。
極度の不調に陥っていた真央さんに舞さんがかけた言葉。寄せた思い。インタビュー中に感動的で涙ぐみました。この姉妹愛があったから、あの2009年全日本選手権の優勝、つまり、オリンピックへの出場権獲得、そして銀メダルがあったのだなと思います。
振り返ってみると、舞さんへのインタビューで、はじめましてのあいさつのあと、舞さんはこう言いました。
「真央のことですよね。真央のことなら、何でもきいてください。何でも話しますから」
この言葉に、妹真央さんへの愛情と信頼。そして、姉妹の強いきずなを感じました。
物語でも一部触れられていますが、姉妹で同じフィギュアという世界で生きていくというのは舞さんにとって、つらいこともたくさんあったそうです。しかし、舞さんは、それを乗り越えた。乗り越えて、きずなを深めてきたからこそのインタビュー前の、あの言葉なんだと思います。
さて、そのシーンですが、実は、今回の物語づくりにあたって、一番最初の段階に作成されました。舞さんへのインタビュー後、このシーンは書き手の吉田さんがいっきに書き上げてきてくれました。内容の出来もとてもよかった。さらには、物語全体の核を成せるだけの強さも持っていた。
だから、このシーンを物語のゴールに、「逆算」しながら、物語をつくりあげていくという形にもなっていきました。