仕事が速い人はツールを使いこなす 仕事が遅い人はツールに使われる

午堂登紀雄『仕事が速いお金持ち 仕事が遅い貧乏人』セレクション

更新日 2020.07.20
公開日 2016.08.26
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 フェイスブックなどのSNSや、オンラインストレージなどの各種クラウドサービスといった、最新のITサービスを駆使している人で、仕事が「デキる」つまり「稼げる」という人にお目にかかったことが、私にはほとんどありません。
 
 おそらく彼らは、「ツールを使うことありき」で自分の動き方を決めているからではないかと考えられます。
 本来であれば、「この作業はどうすればラクに速く快適になるか」を考え、そのソリューションにつながるツールを選びます。
 しかし冒頭のような人は、新しいツールが出たら「このツールを使うことありき」の発想をします。
 もちろん、それが必ずしも良くないということではなく、そこから効率的な使い方が生まれるのも事実です。
 しかし、無理やりツールに合わせようとすれば、かえって無駄を生むことになりかねません。

 たとえば、かつてITが普及し始めた頃、家電量販店に行って「インターネットください」という客がいたり、パソコンを持っていないのにウィンドウズ95のディスクだけを買い「これはどうやって使うのか」といった電話がサポートセンターにかかってきた、などという話が話題になりました。
「それはいったいどういうもので、自分にどう役立つのか」を考えることなく、ただ「ブームに乗り遅れるな」とばかりに店へと走った結果でしょう。

 かなり以前の話ですが、ITベンダーが「ペーパーレス」をコンセプトに企業にIT化を売り込んだにもかかわらず、現実には紙が増えてしまったという事例もこれに似ています。
 最近で言えば、全営業部員にノートパソコンを持たせるとか、タブレット端末を配布するといった話でしょうか。
 システムの導入による理想が先行し、現実の業務プロセスに合わないとか、あるいはシステムに合わせて業務プロセスを改革することで、かえって非効率になったという企業の話もよく聞きます。
 つまり、「ツールありき」ではなく、「自分の動きを最適にする方法は何かを考えたときにツールを活用する」という発想に転換することが必要です。でなければ、儲かるのは供給者だけということになります。

●最新ツールの導入は「先に問題意識ありき」

 実は私も、過去に同じ失敗をしています。
 話題のタブレット端末を買ってはみたものの、使い道が思い浮かばず中古ショップで売りました。電子書籍リーダーも買ったことがありますが、やはり紙の本のほうが読みやすく、この端末も売却しました。
 オンラインストレージサービスにも申し込みましたが、電波がつながらないと使えないし、ログインやダウンロード・アップロードに時間がかかります。そして、提供企業が突然そのサービスを終了したため、データの移行がとても面倒でした。

 結局、私はツールに振り回されただけで、それらによって自分のパフォーマンスや成果に良い影響を与えることはありませんでした。
 むしろそれらツールの使い方を覚えたりいじったりしている時間の分だけ無駄だったのです。

 それを教訓に、私は新しいツールの導入には、「先に問題意識ありき」で発想するようにしています。
 つまり、自分の日々の活動やタスクに対して「これ面倒だな」「これもっと簡単にならないかな」「これ自動化できないかな」という問題意識を持つということです。
 そんな意識を持っていれば、現時点では解決する方法がない課題であっても、新しいツールが出たとき「これを使えば解決できる!」とソリューションに結びつくのです。

 たとえば私はスケジュール管理では紙の手帳を使っています。このほうが一覧性があり、書き込みや変更も一瞬でできるため、ネットのツールより便利だからです。
 一方で、たとえば3人以上とアポイントを取るには、メールや電話では煩雑で、なかなか調整がつきません。これは面倒です。
 そこで何かないかと思ってツールを探します。そして「調整さん」というウェブツールを使えば、全員が共通して空いている日程が一目瞭然になるため、複数人での打ち合わせや飲み会のセッティングが簡単にできることがわかります。

 つまりデジタルが必ずしも業務を効率化させるということではなく、デジタルもアナログも、最新製品も既存製品も含めてあらゆる選択肢を考え、「どういう状態が効率化されたと言えるのか」という、自分なりの定義を持っておくことが必要です。

 実際、私の周りの起業家でも、億の年収を稼いでいながらガラケーの人がいますし、タブレット端末も持っていない人がほとんどです。中には手帳すら持っていない人もいます。
 彼ら曰く「そんなの使ったって儲からねえだろ?」だそうです……。

午堂 登紀雄 (ごどう ときお)

1971年岡山県生まれ。米国公認会計士。中央大学経済学部卒業後、会計事務所、大手流通企業のマーケティング部門を経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームのアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして活躍。2006年、著書『33歳で資産3億円をつくった私の方法』(三笠書房)がベストセラーとなる。同年、不動産投資コンサルティングを行う株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。経営者兼個人投資家としての活動のほか、出版や講演も多数行っている。『お金の才能』(かんき出版)、『頭のいいお金の使い方』(日本実業出版)、『オキテ破りのFX投資で月50万円稼ぐ!』(ダイヤモンド社)、『日本脱出』(あさ出版)ほか著書多数。

 

作品紹介

仕事が速いお金持ち 仕事が遅い貧乏人

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