私はこれまで、経営コンサルタントとして様々な会社組織に入り込み、トップから現場の最前線で働く人たちと対話をし続けてきた。
　その経験を通じて、こんな事実が浮き彫りになった。
「あなたが嫌っている人の数」≒「あなたを嫌っている人の数」
　これには例外がなかった。
　確かにあなたが嫌う相手が、同じくあなたを嫌っている“相思相嫌”の状態もあった。
　ただ現実には、嫌いな相手からではなく、日々親しくしているように見える「仲間内」から嫌われているという場合が多かった。
　ショックを受けて仕事にならなくなっては私も困るから、本人たちには滅多にこの衝撃の真実を明かさなかった。
　私に限らず、組織の中枢まで入り込んだことのある経営コンサルタントならば、満場一致でこの事実に対して首を縦に振るはずだ。
　鏡のように、自分が嫌った相手に嫌われるのであれば、まだ納得がいく。
　ところが現実は、自分がよく知らない相手だったり、どちらかと言えば好感を持っている相手から嫌われていたりするのだ。
　この事実から受けるショックは計り知れないが、逆もまた然りである。
　あなたもよく知らない相手を嫌ったり、相手があなたに好感を持っているのに無意識に冷たい態度で接したりするかもしれない。
　結局、人生も人間関係もすべて好き嫌いの帳尻が合っているということだ。
　あなたが誰かに理不尽にすると、他の誰かからあなたも理不尽にされる。
　あなたが誰かに親切にすると、他の誰かからあなたも親切にされる。