私は、日ごろから「無心になる時間」をつくることも大事にしています。
　周囲のザワめきをいったんすべてシャットアウトし、ひたすら自分の心と向き合うのです。
　思い通りの人生をつくるには、毎日をキラキラで満たしたり、思い立ったらすぐに行動を起こしたりという積極性が大切です。
　けれど、あまりアクティブな状態ばかり続くと、いつのまにか目標がブレたり、本当に大切なものを見失ったり、意識が散漫になって、チャンスをとらえるセンスが鈍ったり……。
　しかも、今は、そこらじゅうにモノがあふれ、つねに携帯電話がそばにあって誰かとつながり、真夜中も煌々と電気がついています。刺激的で楽しい反面、その波に飲まれてしまうと、気の休まる間がありません。
　脳はつねに何かをキャッチしていて、処理に追われています。
　何事にも積極的なのはけっこうですが、その一方で、１人静かに自分と向き合う時間も必要です。あえて「無心・無意識」になれる時間をつくり出し、人生をより濃くしていきましょう。

　たとえば、自宅でアロマを炷（た）いて、テレビや電気を消し、スマホの電源も切って、しばし目を閉じます。私は、「この１時間は公園でボーッとする時間」という予定を入れることもあります。
　ほかにも、お風呂で使える間接照明を取り入れて、薄暗いなかで半ば瞑想しながら入浴したり、家に何枚もある鏡をピカピカに磨いたり。これらも、私が無心になれる時間です。
「無心になる時間」って、思えば小学校のころのお習字の授業で、ひたすら墨をすった時間に似ています。
　心を静め、何事にもわずらわされない時間。何も考えないように見えて、これがじつは、いろいろと我が身を振り返る機会になります。
　外の刺激を一時的にシャットアウトしてみると、案外、多くの気づきが得られるものです。
　無心になっている間に心がリセットされ、本当にしたいことや大切なものが改めてわかったり、イマジネーションが働き出したりするのです。
　ひと言で言えば、成功感性。
　無心になる時間が、頭と心をより冴え渡らせ、日常にちりばめられているアイデアのヒントやご縁、チャンスに「ピン！」と来るセンスを高めてくれます。

水原 ゆり (みずはら ゆり)