◆「# そろ生き」先行試し読み 第6回◆ 「好き放題言えばいい、いたぶって自分の優位さを示せばいい――」

旺季志ずか

更新日 2020.07.27
公開日 2018.05.15
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先行試し読み 第6回

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「好き放題言えばいい、いたぶって自分の優位さを示せばいい。
すべてを失ったとしても、
本当に大切なものだけは決して奪われることはない――」

連続ドラマ「屋根裏の恋人」より。
主人公・衣香(石田ひかり)の夫・誠(勝村政信)が金融商品取引法違反の容疑で逮捕され、マスコミや住民からバッシングされたときに吐いた衣香のセリフ。

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この本を書くにあたって、私の書いたドラマ脚本すべての中から、ブログの読者や出版社の編集者さんたちに好きなセリフを選んでいただきました。そのほとんどが「屋根裏の恋人」のセリフだったことに、「当然かもしれない」と思いました。

なぜなら、このドラマに、私そのものがいちばん色濃く出ているからです。

私は、幼いころから周りのみんなと、いろいろな点で"違う”と感じていました。

中・高生のときに、アイドルを追いかける友だちの気持ちがまったくわからず、女子同士で一緒にトイレにいく習慣が耐えられませんでした。

しかし、「変わり者」と言われたり、目立って仲間はずれにされたりするのが怖くて、人と同じことをしていました。

本来の私は、破天荒で感受性が鋭く、ときに人が感じないことを感じたり、見えないものを見たりします。それなのに、自分の感じている違和感をないものとしたり、みんなが好きなものを好きなふりをしたり、人に合わせて自分の感性を殺していたのです。本当に息苦しい半生でした。

数年前から、人に合わせて「いい人でいる」ことの違和感がムクムクと頭をもたげ、ドカンと自分をあらわしたくなりました。その象徴がピンクの髪色だったのです。

これなら、ひと目で「変わり者」と思って用心してくれるでしょ(笑)?

「変わり者でも面白い」と思ってくれる人とだけつき合えばいい。

そう心に決めたからできたことです。

 

私の人生は、物心ついたときから波瀾万丈でした。

私が生後まもなく、私の父は1年の余命宣告を受けました。難病指定を受けたまま傘寿(80歳)まで長生きしましたが、闘病の苦しさと、将来の夢を長女の私に託す想いもあり、相当厳しい態度で私に接しました。

小学生時代の記憶は、曇った空と暗い近所の森のイメージに彩られています。楽しくてホッとするのは空想の中――。そこで、私は物語づくりのレッスンをしていたのかもしれません。

そして大人になってからのあれこれ――。

「はじめに」(『ほんちゅ!』連載第1回)にも書きましたが、恋に落ちた男性に妻子がいるのを知ったのは、つき合いはじめて3か月経ったときでした。

あこがれの芸能界は、イジメとセクハラと格差の世界。どん底の貧乏も経験しました。結婚し、子どもができてからの離婚。子どもが受けた陰湿なイジメ――。そのことが原因だと知らず、不登校になった子どもを受け入れるのに1年もかかりました。

その後、真剣に愛した人の裏切りと破局、仕事の挫折……。

心が折れてしまうもろもろの出来事。

さまざまなことを乗り越える中で確信を得たこと。このセリフにも込めた、今も私を支え続けている哲学――。

「本当に大切なものは絶対になくならない」

もしも、何かを失ってしまったり、誰かと別れたり、想いが叶わなかったとしたら、それは本当に必要なものではなかったのです。

手に入らないほうがいいものだし、もしかしたら手に入る時期が違うだけのことかもしれません。

本当に大切なものは、必ず、掌中に残ります。

だから、安心していいのです。つらいときほど、このことを信じてほしい。

 

(次回は、5月16日・10:00頃配信予定です)

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2018年5月18日発売予定

『「誰かのためも大切だけど、そろそろ自分のために生きてもいいんじゃない?」』

著者:旺季志ずか(おうきしずか)/定価:1300円+税

【アマゾン、書店で予約受付中】

http://amzn.asia/aoJ55Km

「読んだら 感想聞かせてね〜。#そろ生き  つけてくれたら読みにいくよ」 

 (著者・旺季志ずかより)

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旺季 志ずか (おうき しずか)

脚本家。徳島県生まれ。立教大学卒業後、女優を志すも挫折。高層ビルガラス清掃から銀座ホステスまで、50種類の職を経験した豊富な人生経験を生かし、数々のヒットドラマを生み出す。代表作に「屋根裏の恋人」「ストロベリーナイト」「佐賀のがばいばあちゃん」「女帝」など。不幸だった自らの人生を変えるべく心理学や哲学を学んだ、自称「心」オタク。その知見を盛り込んだ著書『臆病な僕でも勇者になれた七つの教え』『虹の翼のミライ』(ともにサンマーク出版)では、「エンタメ自己啓発小説」という独自の分野を確立した。本書は著者初のエッセイとなる。

 

作品紹介

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