最初に告白しておかなければならないことがある。
千田琢哉はすこぶる短気だということだ。
学校の通信簿には繰り返し「千田君は短気」とコメントされてきたし、
周囲からも同様に指摘され続けた。
遅ればせながら変わったきっかけは、社会人1日目だった。
就職した会社の別の部署に、四六時中怒鳴り散らしている人がいた。
朝一番から、フロア中に響きわたる大声で、毎日何度も怒鳴っているのだ。
「今日は珍しく怒鳴り声が聞こえてこないな」と思ったら、
たいてい欠勤だった。
周囲から嫌われるのを通り越して、もはや社内名物のような豪傑だった。
定年間近だったが、ヒラ社員だった。
出世を諦めて開き直ったサラリーマンは、
ヤクザより質が悪いというのは本当だった。
その豪傑から私は生涯の宝となる大切なことを教わった。
まず、
怒鳴るのは
かっこ悪い
ことだと気づかされた。
自分を遥かに超越するほど短気な人を目の当たりにして、
怒鳴っている姿はこんなにみっともないのだと教わったのだ。
次に、怒鳴ると人にこき使われる存在になってしまうことに気づかされた。
怒鳴っている人は、
「こんなにがんばって威嚇しているのだから、これで勘弁してね」と、
みんなに甘えているのだ。
お子様のように、周囲に甘え続けてきたのだ。
誠にお気の毒な話だが、これまで誰からも大人として
扱ってもらえなかったのだ。
図体だけがやたらでかいお子様は、
周囲に心の中で見下されながら手なずけられる。
結果として、怒鳴る人は惨めなまでに支配されてしまうのだ。
漫画や映画の世界でも、いつも怒鳴り散らしているのは
下っ端のチンピラ連中と相場は決まっている。
自分の短気を根本から治すことは、できないかもしれない。
だが、怒りをコントロールすることならできる。
怒りの本質を抑え、発想の転換さえすれば、
たった2分で心を鎮められる。
千田 琢哉 (せんだ たくや)
株文筆家。 愛知県犬山市生まれ、岐阜県各務原市育ち。 東北大学教育学部教育学科卒。 日系損害保険会社本部、大手経営コンサルティング会社勤務を経て独立。 コンサルティング会社では、多くの業種業界における大型プロジェクトのリーダーとして戦略策定からその実行支援に至るまで陣頭指揮を執る。 のべ3,300人のエグゼクティブと10,000人を超えるビジネスパーソンたちとの対話によって 得た事実とそこで培った知恵を活かし、 “タブーへの挑戦で、次代を創る”をミッションとして執筆活動を行っている。
■E-mail
info@senda-takuya.com
■ホームページ
http://www.senda-takuya.com/
作品紹介
怒りは人間に必要な感情であり、怒っても恥じる必要などはない。怒りと上手に付き合い、ともに乗り越えていく方法を教えよう。
定価:本体1,200円+税/学研プラス
バックナンバー
- 怒りを克服した人から、 出世していく。
- 浮気されるのは、 あなたが相手を認めないから。
- ひと言多い同僚には、 力強く「なるほど」。
- 器を大きくするためには、 器の小ささを認めること。
- 食欲・性欲・睡眠欲が 満たされている人は、キレない。
- 怒りは、知性で逸らす。
- 怒鳴り続けると、寿命が縮む。
- 怒りの根っこは、恐怖。
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