【そうだったのか!  教育の変化】これからの時代の必須能力!?「21世紀型能力」ってなんだ?

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公開日 2018.07.31
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学研(総研)   こんにちは! 小学校2年生の女の子をもつ、ワーキングマザーのしろくまかあさんと申します。   

 ところでみなさま、2020年から、大学入試や小中学校の指導内容も大きく変わるってご存知ですか? その鍵となるのは、これからの社会で必要とされる基礎力・思考力・実践力を含む「21世紀型能力」というスキルなのだそう…。

「2年後、いったい教育現場で何が起こるの? そもそも21世紀型能力って何?」

 学研教育総合研究所の桃缶先生に、2020年に変更となる大学入試と学習指導要領の、そしてその変更にかかわる「21世紀型能力」について聞いてきました!

学研(総研)

しろくま:
 今日はよろしくお願いします! 2020年に教育が大きく変化するといわれていますが、いったい何が起きるのでしょうか。学研教育総合研究所の桃缶先生、ぜひ詳しく教えてください!

桃缶先生:
 よろしくお願いします。ところで、しろくまさんは、今回の教育改革で何か知っていることはありますか?

しろくま:
 英語とかプログラミング教育が始まるというのは、なんとな~く聞いたことがあります…。

学研(総研)

桃缶先生:
 はい、おっしゃるとおり新しい学習指導要領に基づいた教育が本格的に始まり、英語やプログラミング教育も開始されます。
 その他に大学入試や学習指導要領などが大きく変わり、明治維新以来の教育改革とも言われているんですよ!

しろくま:
 明治維新以来! それは大改革ですね…。よりよくなるのはいいことだと思いますが、大きく変わることで子どもたちに混乱が起きないかちょっと不安ですね。なにしろ保護者もまだよくわかっていないのに…。

桃缶先生:
 焦ることはありませんよ。一緒に2020年に教育がどのように変わるのかを学んでいきましょう!

3種類の「21世紀型能力」って?

桃缶先生:
 これからの予測不能な社会、21世紀を生き抜くために必要な力として、文部科学省が整理した、「21世紀型能力」というものがあります。

しろくま:
 「21世紀型能力」?

桃缶先生:
 将来を担う子どもたちにとって、これからの時代を生き抜いていくために必要な力…と言ってもいいかもしれませんね。

しろくま:
 うう~ん、いまいちピンと来ないです…。先生、詳しく教えてください!

学研(総研)

桃缶先生:
 21世紀型能力は3つの力で構成されています。この3つの力の中心になるのは「思考力」。これは、自分の考えをもちながら他の人と話し合って、よりよい答えや新しい知識を生み出し、その次の課題を見つける力のことです。

しろくま:
 なるほど、たしかにこれはとっても必要な力ですよね!

桃缶先生:
 さらに、その思考力を支えるように「基礎力」があります。この「基礎力」とは、目的に応じて言葉、数、情報を自由に使いこなす基礎的な知識・技能です。

しろくま:
 「情報スキル」も基礎力として使いこなせなきゃいけないんですね…。

桃缶先生:
 そうですね。やはりICT化が進んでいますから。そして、「基礎力」「思考力」をフル稼働して、自分や社会にとって価値ある答えを導くことができる力が、「実践力」です。

しろくま:
 考える力だけじゃなくて、考えたことを実現する力も問われているんですね!

桃缶先生:
 はい、学んで身につけたものを社会で「どう使うのか」というところまで整理しているのが、「21世紀型能力」なんですよ。

大学入試が変わる!? ポイントは「思考力」と「表現力」

学研(総研)

桃缶先生:
 ではこれからの社会で必要とされる能力をおさえたところで、教育が具体的にどう変わるのかを見ていきましょう。まずは大学入試の変化です。

しろくま:
 大学入試も変化するんですか!

桃缶先生:
 はい、大きく変わるんですよ。ところで、しろくまさんは受験勉強にどんな思い出がありますか?

しろくま:
 受験勉強といえば、とにかく英単語を暗記したり、苦手な数学のとき方を覚えたりと大変だった覚えがあります。

桃缶先生:
 そうですね、今までの入試は、そのように必死で覚えた年号や数式、公式などを駆使する「知識・技能」に重点が置かれた試験でした。
 しかし! これからの大学入試は「知識・技能」に加えて、「思考力・判断力・表現力」、「主体性・多様性・協働性」といった「学力の3要素」を問う試験になる予定です。

学研(総研)

しろくま:
 「学力の3要素」ですか?

桃缶先生:
 具体的な例を出しながら、説明していきますね。まずは大学入試センター試験ですが、名前が「大学入学共通テスト」へと名前が変わります。

しろくま:
 「大学入学共通テスト」…ですか?

桃缶先生:
 はい、現在の高校1年生(2018年7月時点)から、この「大学入学共通テスト」(2021年1月実施)を受験することになります。
 内容も大きく変わるんですよ。今までのセンター試験はマークシート形式で、チャンスは年に1回でしたよね。
 大学入学共通テストでは、マークシート形式だけでなく、数学と国語を中心に100字程度の記述式問題が出題される予定です。

しろくま:
 記述問題が出るということは、従来のマークシートのように勘では解答できないんですね…。

桃缶先生:
 そうですね。さらに2024年度からは、コンピューターを使って回答する形式になり、受験チャンスが年に数回設けられることが検討されています。

しろくま:
 それは大きな変化ですね! しかも、今小学生くらいの子どもたちはちょうど過渡期にあたりますね。我が家も他人事ではいられないです…。

桃缶先生:
 今後、大学受験を考えているようでしたら、保護者さまの学生時代のころとは大きく違いますから、情報収集は欠かせないですね。
 ちなみに、なぜ記述式を導入するのかというと、マークシートでは問うことができなかった思考力や表現力を問いたいからです。

しろくま:
 まさに、先ほど出てきた3つの力を問う試験になるんですね。

桃缶先生:
 国立大学の一般入試でも、二次試験で小論文やプレゼンテーション、面接などを取り入れて、今までどんなことに主体的に取り組んできたのか、どんな強みがあるのか、他者と協力してどんなことを経験してきたのかということを評価の対象にしようとしています。

しろくま:
 面接やプレゼンテーションなんて、企業の採用試験みたいですね! 大学受験が、今までのような机上の受験勉強だけではないということがわかってきました!

新学習指導要領では「詰め込み」と「ゆとり」はどちらも大事!

桃缶先生:
 大学入試が変わり、問われる力が変わるということは、そこに至るまでの小中高での学びも変化するということです。つまり、学習指導要領が変わります。

しろくま:
 学習指導要領ですか?

桃缶先生:
 学習指導要領とは、小中高それぞれの教科でいつ何をどのくらい勉強するのかを、文部科学省が示したものです。
 学びの地図とも呼ばれ、約10年に1回改訂が行われます。

 では、具体的にどのように小中高の学びが変わるのかをお話ししていきましょう。

 …ところでしろくまさん、「ゆとり」や「詰め込み」教育という言葉を聞いたことはありますよね?

しろくま:
 もちろんあります。ただ、どちらもあまりよい印象はないような…。

桃缶先生:
 そうですね。知識・技能を重視する「詰め込み教育」と、思考力を重視する「ゆとり教育」は対立していました。しかし今回の教育改革における議論で、知識・技能、思考力、どちらも重視する必要があるという結論になりました。

しろくま:
 対立していた「詰め込み教育」と「ゆとり教育」の両方ですか?

桃缶先生:
 そうです。全ての基盤になる、知識・技能はもちろんのこと、それらを使って考え・判断し、表現する力も大事です。しかしそれだけではなく、自分から学びに向かう態度、思いやりなどの人間性をもって、多様性を尊重しながら他者と協力する力も必要ということで、この3つを次期学習指導要領で育てるべき力としました。これを「育成すべき資質・能力の3つの柱」と呼びます。

学研(総研)

しろくま:
 たしかに、言われてみれば思考力や知識力もどちらも大切ですよね。

桃缶先生:
 今までの教育を否定したり、全く新しい教育の方針を打ち立てたりするということではなくて、今まで築いてきた教育に新たな要素を建て増ししていくイメージです。

しろくま:
 なるほど。知識はもちろん重要ですが、それだけではない社会で必要になってくるようなスキルも重視される教育に変わっていくんですね。

桃缶先生:
 さすが、そのとおりです! さあ次回は新しい指導要領の中で、大きく変わるポイントを説明しますよ。

しろくま:
 まさに、いまの子どもたちの教育に直結する部分ですね! 楽しみです!

協力:学研教育総合研究所

 

ライター:しろくまかあさん
 小学校2年生のひとり娘を育児中のワーキングマザー。特段、教育熱心なタイプというわけではないが、娘にはごくごく一般レベルくらいの学力は身につけ、憂いなく楽しい小学校ライフを送ってほしいと願っている。

 

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※このコラムは、「ガッケン!ハッケン!学研ゼミ 保護者のよみもの ハッケン!みっけ!」に掲載されていたものです。

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