軸とは、それがかなえば、 ほかのすべてを犠牲にできることだ。

中谷彰宏『シンプルな人は、うまくいく。』セレクション

更新日 2020.07.17
公開日 2016.01.28
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「あなたの軸はなんですか」
「○○です」
「じゃ、ほかのものはいらないんですね」
「ちょっと待ってください」、
 このやりとりは、おかしいのです。
「ちょっと待ってください」と言うものは、軸ではありません。
 軸は、「一番欲しいもの」ではありません。
 軸は、「それ以外のものがいらない」ということです。

 たとえば、不動産屋さんに行ってマンションを探します。
「新築がいい」と言いながら、値段を提示されて「もっと安いところはないの」と言う人がいます。
 それなら、最初から予算を言ったほうがいいのです。
「その予算なら、駅から遠くなります」
「駅から遠いのは、ちょっと」
「それを先に言ってくださいよ。駅からどれぐらいがいいですか」
「駅から5分」
「駅から5分だと、都心から2時間になります」
「それもちょっと」
 この人は、軸が定まっていません。
 不動産屋さんも、時間を奪われるだけです。
 いい物件は、ほかのお客様にまわされます。

 僕は、マンションを探す時に、「ほかの条件はもろもろいいですから、表参道で、予算は○○円です」と言い切りました。
 表参道駅からなら、歩いて30分でも大丈夫です。
 別の駅に着くぐらいでもいいのです。
 そのほうが、不動産屋さんは紹介しやすいのです。
 すべてのものに、メリットとデメリットとがあります。
 軸が決まっていないと、メリットとデメリットを右往左往することになります。
 メリットだけのものを探しても、永遠に見つかりません。
 シンデレラにあこがれる人は、シンデレラが抱えている大変なデメリットが見えていないのです。
 軸があると、メリット・デメリットの中で何を最優先するかがわかります。
 たとえ、デメリットがあっても平気です。
「給料のいい仕事を紹介して」と言いながら、紹介された仕事に「休みが少ない」と文句を言う人は、仕事を紹介してもらえなくなります。
「休みは少なくても給料がいい」、または「給料は安くても休みが多い」のどちらか、軸をはっきりさせることです。
「シンプルである」ということは、「軸が決まっている」ということです。
 軸が決まっているから、右往左往せずに生きられるのです。

 

中谷 彰宏 (なかたに あきひろ)

1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。84年、博報堂に入社。CMプランナーとして、テレビ、ラジオCMの企画、演出をする。91年、独立し、株式会社中谷彰宏事務所を設立。ビジネス書から恋愛エッセイ、小説まで、多岐にわたるジャンルで、数多くのロングセラー、ベストセラーを送り出す。「中谷塾」を主宰し、全国で講演・ワークショップ活動を行っている。

■中谷彰宏公式ホームページ
http://an-web.com/

作品紹介

シンプルな人は、うまくいく。
疲れなくなる63の方法

シンプルな人は、仕事も、恋愛も、人間関係もうまくいく。いらないものをそぎ落とすことで、チャンスをつかむ方法を紹介。
定価:本体1,300円+税/学研プラス

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