労働、その誇り高き自己実現

辻秀一『自分を敬え。超訳・自助論』セレクション

更新日 2020.07.31
公開日 2015.03.19
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 人はなぜ、働くのでしょうか?
 人生の大半は労働です。いやいや働かされている人もいれば、お金がありあまるほどあっても働きたいという人もいます。つまりその目的は、人それぞれです。
 働くとは、生きることの中でどのような価値を持っているのでしょうか? 働くことによってわたしたちはなにがしかの対価をいただきます。つまりそれは、社会や人の役に立ち喜んでもらったことへの報酬です。
 価値がなければ誰もそこにお金を支払いません。すべての労働は、他者に喜びや貢献を期待以上に提供していくことにより成り立っています。だからこそ、労働には優れた人格が必要なのです。そしてそこから多くのものを学ぶことができるのです。
 仕事とは、生きるための義務を超越した、自己の表現であり作品です。誰かの喜びや感動を得るために働いている時点で、すべての人は芸術家です。人に喜びを感じてもらう作品を、自分の才能と努力により創造・制作しているのです。
 自分が芸術家だと考えれば、「労働」という作品づくりにも熱が入るでしょう。自分の作品でより多くの人の感動をつくりたいと思うでしょう。そして自分を磨いて、よりよい作品を創作しようと努力するでしょう。
 働くことこそ、人間の特権です。人は労働に誇りを持つべきです。
 労働は自分の人生の中心にある、自分そのものだと自覚する必要があるのです。今日も芸術作品を創作するために、芸術家として生きていきましょう。

『自助論』とは?

1858 年に刊行されたサミュエル・スマイルズの代表的著作。
原題は「Self Help」。政治家、実業家、科学者、芸術家など300人を超える成功者の逸話や発言を題材に、苦難に立ち向かい、自らの手で道を切り開くことの大切さを説く。日本では一般に『自助論』として知られる。刊行後、世界各国で翻訳されベストセラーとなる。日本では、福沢諭吉の『学問のすゝめ』と並び明治期の青年層に愛読され、近代日本の形成に大きな影響を与えた。

辻 秀一 (つじ しゅういち)

辻 秀一 (つじ しゅういち)

スポーツドクター。株式会社エミネクロス代表。慶應義塾大学病院内科、同スポーツ医学研究センターを経て独立、現在に至る。応用スポーツ心理学とフロー理論を基にしたメンタル・トレーニングによるパフォーマンス向上が専門。セミナー・講演活動は年間200回以上。年に数回の「人間力ワークショップ」は、経営者、アスリート、音楽家、主婦、OL、教員など、日本はもとより海外からの参加者もいるほど人気を博している。 著書に35万部突破のベストセラー『スラムダンク勝利学』(集英社インターナショナル)、『禅脳思考』(フォレスト出版)、『自分を「ごきげん」にする方法』(サンマーク出版)ほか多数。

作品紹介

自分を敬え。超訳・自助論
内向型の人が自分らしく生きるための本

刊行から150余年。起業家、芸術家、アスリート…全世界の挑戦者たちを刺激し続ける不朽の名作「自助論」の精神をここに凝縮!
定価:本体1,400円+税/学研プラス

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