年をとって、家族の中でも社会でも「役割がない」「誰にも必要とされていない」と感じることが、高齢者の方々をどれだけがっかりさせ、人生の張り合いを奪っているかは、誰でも容易に想像できます。
私は父が認知症になりかけていたころ、家庭や子育てのこと、クリニックの経営のことなど、たくさんの相談をしました。脳神経内科医として、こうした問題について考えることが父の状態を良くさせるのではないかという期待もありましたし、「いつまでも頼れる父であってほしい」という、娘としての願いもあったと思います。そして、父は見事にそれに答えてくれました。
あまり心配をかけたくないという気持ちもわかりますが、ご両親の状態を見ながら、少しずつ自分の悩みごとを相談するのは、いいことだと思います。「子どものため」という気持ちは、何よりも親を動かすはずです。いくら、自分の好きなことをやって充実した毎日を送っていたとしても、やはり子どもに頼りにされることは、脳を働かせる最大最強のエンジンになるはずです。
霜田 里絵 (しもだ さとえ)
医師・医学博士。順天堂大学卒業後、同大学病院の脳神経内科医局を経て、都内の病院勤務。2005(平成17)年から銀座内科・神経内科クリニック院長を務めるとともに、2011(平成23)年には医療法人社団ブレイン・ヘルスを設立、理事長に就任。パーキンソン病、アルツハイマー病、脳血管障害、頭痛、めまい、しびれなどが専門。日本神経学会専門医、日本内科学会認定医、日本抗加齢医学会専門医、アメリカ抗加齢医学会認定専門医。 著書に『「美人脳」のつくりかた』(マガジンハウス)、『脳の専門医が教える 40代から上り調子になる人の77の習慣』(文藝春秋)、『脳活 バランス良く鍛えて、人生いきいき』(東京堂出版)がある。
作品紹介
絶対ボケない頭をつくる!
脳の専門医が教える 元気に、長生きする方法
近年急増中の認知症を防ぐため、脳の専門医の著者が、一生ボケない生活習慣の秘訣やトレーニング法を紹介する。
定価:本体1,200円+税/学研プラス